一剤一剤に、人生がかかる責任

2019年10月19日

こんにちは、熊木です。

 

この時期になると、受験した私の患者さん達は、入学試験の結果に一喜一憂します。

 

そして、私も彼らとともに、一喜一憂します。

 

私は学校や塾の先生でありませんから、

彼らが出した結果の如何を問うことはありません。

 

ただ、受験を控えた時期に苦しみを抱え、それに耐え切れず、

心療内科の敷居をまたいだ彼らに対し、

私もおのずと

「どうにか苦しみを最小限にして、受験で最大限の力を発揮させてあげたい」

というような”親心”を持つようになります。

 

受験生以外の患者さんでも、

丁寧に単剤を漸増・漸減するという手法に全く変わりはありませんが、

受験生に対しては、さらに慎重にならざるを得ません。

 

こちらの処方する一剤一剤に、

彼らの人生がかかっているという責任をひしひしと感じるからです。

 

受験終了後、当初の目的を果たせた患者さんたちのほとんどは、

明るい顔で「ありがとうございました」といって診察室を後にします。

 

しかし、なかには受験が終わって、東京や北海道などに行ってからも、

定期的に会いに来て、近況報告(一応、病状報告)してくれる患者さんもいます。

 

そういった人々のなかで、社会人になって活躍している人、

大学院で研究を続けている人なども出てきており、

「あいち熊木クリニックの6年半というのは、決して短い時間ではない」

と感慨にふけることもしばしばです。

 

いくら頭を捻り、額に汗して考えても、

治療がはかばかしくないケースもいまだあり、

より一層の研鑚を求められ続けるのが、臨床家の道というものでしょうが、

患者さんの人生にうまくコミットできる醍醐味も、臨床家ならではのものです。

 

熊木徹夫(あいち熊木クリニック<愛知県日進市(名古屋市名東区隣)。
心療内科・精神科・漢方外来>:TEL: 0561-75-5707: https://www.dr-kumaki.net/ )

<※参考>

治療における「先駆者優先の原則」

「糖衣錠を1/4に割るなんて…」


患者さんと共に、“勇気を持って翔ぶ”ということ

おくすり手帳は、あなたの命綱

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