精神科における漢方薬治療と、痛み・とりわけ線維筋痛症 について

2019年9月25日

痛み・漢方専門外来(および、あいち熊木クリニックでの漢方薬治療の考え方)について

あいち熊木クリニックは、精神科・心療内科クリニックであると同時に、漢方クリニックでもあります

これは、精神科治療の片手間に漢方治療を行っているということではなく、また、精神科関連の漢方しか取り扱えないということでもありません。

院長の熊木は精神科医(精神保健指定医)ですが、一方で日本東洋医学会の専門医(すなわち、漢方の専門医)でありますので、精神科薬物(向精神薬)全般と、漢方薬全般が処方できます

実際の診療において、患者さんの状態を診てから、精神科薬物全般と漢方薬全般を頭に浮かべて、そのなかで最良である薬物をチョイスしています。

そのため、あらかじめ精神科薬物のみがご希望の患者さんに、あえて漢方薬をお勧めすることがありますし、またその逆で、漢方薬のみご希望の患者さんに、あえて精神科薬物をお勧めすることもあります。

これはあまのじゃくで、そのようにしているのではありません。
常に、あいち熊木クリニックが行える最良の提案をしていきたいという考えに基づくものです。
ただし、「どうしても漢方薬じゃなきゃいやだ」という方や、妊娠中なので精神科薬物を処方できないという方もいらっしゃいます。そのような状況ならもちろん、漢方薬限定での最良の薬物をご提示することも可能です。どうぞお気軽にご相談下さい。

 ※ あいち熊木クリニックでの漢方治療は、健康保険適応となります。

実際のところ、あいち熊木クリニック受診患者さんの約3割に何らかの漢方薬が処方されています。

漢方薬には、精神科薬物を初めとする西洋薬にはない、いくつかの“強み”があります。

それはたとえば、以下のようなものです。

1:効能がマイルドで、副作用が比較的少なくできる。(注:副作用がないというわけではありません

2:一見関連がなさそうないくつもの症状を股にかけ、一つないし二つの漢方薬で治療できることがあり、多剤同時処方を緩和することができる。

3:根治療法につながる可能性がある。(一時的な身体の改変に留まらない治療が期待できる)

4:患者さんが自分の身体に漢方薬がどう響くか、理解しやすい。
(これを私は「身体感覚」と呼んでいます。ただし「身体感覚」の醸成を行うのに、漢方薬が必須というわけではありません。比較的容易に「身体感覚」が理解しやすいということです。私は、漢方薬処方で味覚というものをかなり重要視しています。そのため、日本で健康保険適応の漢方薬の約8割について、熊木自ら試服しているほどです)

5:西洋医学の諸検査で異常が出ず、「原因不明」であると放り出されたもののうち、かなりのものについて、程度の差はあれど、なにがしかの改善が見込める。(漢方医学では「未病」という概念があります。これは、“健康状態の範囲であるが、病気に著しく近い身体又は心の状態”を指して言います。すなわち、西洋医学的検査で掬い取れない“本格的な病気前夜”の状態を感知し、それを治療の土俵に乗せることが可能なのです)

ただそうはいっても、漢方薬はいいことづくめではありません。

微細な身体の状態をかぎ分け、健康保険適応の範囲でも約130剤はある漢方薬の適切なマッチングを行うことは、なかなか容易ではなく、治療技術の巧拙が非常に大きく別れるところがあります。

患者さん自身が、自らのうちにあるいくつかの症状を参考にして、最良の漢方薬に出合うことなど、ほとんど不可能といっていいでしょう。(体質論に依拠する必要があるのですが、それはなかなか習得できるものではないからです)

また最近のあるデータによると、漢方薬を使用したことのある医師は全体の9割もいるということですが、系統的に漢方医学・中医学を履修し、その上で、数千の症例を積み重ねている医師とそうでない医師の処方では、大きな開きがあることは明白です。

これらの話を踏まえ、「あいち熊木クリニックで漢方治療を受けてみようか」と思っていただけたなら、ぜひ一度当院に訪れてみてください。(すぐに結果が出る場合もありますが、じんわり効果が出てくるタイプのものもあります。最終的な成果を信じ、じっくりお付き合いいただけるのでしたら、次第にいい方へにじり寄っていくことは可能です)

追伸1:

あいち熊木クリニックの漢方外来の正式名称は、「痛み・漢方外来」です。

もちろん、痛みだけ取り扱うのではありません。

不安・焦燥・めまい・不眠・発汗・動悸などの各種症状や、更年期障害・PMS(生理前症候群)・IBS(過敏性腸症候群)・心身症・慢性疲労症候群・冷え性など各種疾患、身体科の諸検査で大きな異常が出ない、大方の症状・疾患について、治療が可能です。

しかし、原因不明の痛み(疼痛障害)に、とりわけ重点を置いています

なかでも、線維筋痛症はいわば“疼痛障害の横綱”であり、治療は困難を極めます。

(注:線維筋痛症については、漢方薬だけでなく、精神科薬物も治療の有力な選択肢になります

私は、線維筋痛症を必ず治してみせると大見得は切れませんが、今後も尽力していきます。
その意思表明として、「痛み」という言葉が冠せられているのです。

追伸2:

あいち熊木クリニックの漢方治療では、精神科薬物治療と同様、各種健康保険の適応となります。

漢方治療では、体質改善も想定したとき、数ヶ月~数年の期間を要する場合があります。
当院ご来院の前に、患者さんが自己選択による漢方服用を行っており、月に2~3万円かかるから、それを何とかしたい、などという声もちらほら聞かれます。

そのように自己治療してうまくいっていればまだしも、先程お話ししたように漢方薬の自己選択は非常に難しいことから、本当にふさわしい漢方薬に巡り会えていない方が圧倒的多数です。

以上により、病院や診療所での処方というかたちでない漢方服用は、いろいろな意味で合理性を欠くと考えています。

必ずしも治療にあたるのが当院である必要はありませんが、「漢方処方を受けるなら、ぜひ漢方専門病院(クリニック)で」ということは是非申し添えておきたいと思います。

<※参考>

初めて漢方薬を服用される方へ(あいち熊木クリニックでのお伝え)

「”仮面”を被ったうつ病 ~痛みにさまよえる患者さんたち~」

舌痛症、官能的評価のコメント

アロパノール(全薬工業)についての所感