あいち熊木クリニック、森にすむ仲間たち~あいち熊木クリニック館内、無垢の木々について~
当院では、患者さんにすごしやすい空間を提供したいとの思いから、木にこだわり、たくさんの無垢材を取り入れています。
それぞれの木について、若干の蘊蓄と深い思い入れとを開陳します。
杉:館内の床・壁・天井を覆いつくしているのが愛知県産の地場の杉。
館内いっぱいに木の香が満ちていますが、それはこの杉と檜によるものです。
独特の赤みと白さは、日本人に馴染みの深いものです。
肌触りがよくさらさらしており、かつ温かみがある。
当院建築前に挙げたコンセプト、それは「夏も冬も裸足で歩けるクリニック」というものでした。
それを果たすのに一番相応しい素材、それが古来からある杉なのでした。
杉は軽い素材で、多くの空気を含みこんでいます。
それゆえ、柔らかく、硬い木にありがちなヒンヤリとした感触がないのです。
ただしこの杉、弱点があります。
それは柔らかすぎること。それゆえ、キズがつきやすいのです。
きれいな木肌にキズがついていくのは忍びないですが、それも使い込まれていくうちに生じる“味”のうち、と思い定めることにしました。
そしてもうひとつの弱点、それは床暖房に向かないこと。
通常床暖房をするのは、ナラやサクラといった硬い木をフローリングに張ります。
これらの硬い木は、暖めても反らないのです。
しかし、先に挙げた理由で、硬い木を床に使いたくはない。
これには、建築家の方ともども、さんざん悩みました。
そして悩みに悩んだ末、パッと光明が射したのです!
それを解決したのがサーマスラブです。(サーマスラブについては、当日解説の予定です)
ひのき(檜):当院の陰の主役です。構造材にふんだんに檜が使われています。
ただし、柱の一部を除いて、ほとんどおもてに出てくることはありません。
ただこのひのきの醸し出す芳香は、当院に入ってきたばかりの人々の第一印象を、大きく決定づけることでしょう。
松:待合に横たわる非常に大きな梁はこの松です。
これだけの松は日本では採れません。これは米松です。
しばらくすると松やにが染み出て、独特の風合いを醸し出すかもしれません。
ブビンガ:当院待合にデンと居座るのは、2つのブビンガのベンチです。
これは当初、テーブルになる予定でしたが、結局ベンチとして使うことになりました。
飴色でつやつやと輝き、肌理も細かく重厚感があります。
現にとても重く、水に沈むほどのものです。
当院のベンチは1個でも100㎏を軽く超えるものであり、大の男が数人で運び込むほどのものでした。
待合の主役を張っています。
栗:当院では非常にたくさん使われています。
木目がはっきりしていて重厚な木です。
まずは、受付のカウンターテーブル。これはほとんど無塗装で、灰白色です。
さらには、待合の奥まったところにある栗のベンチ。これは幾分黄味がかっていて、光沢があります。ここに腰かけて眺めるシマトネリコとキンカンはなかなかのものです。
そして栗の間にある大きな栗テーブル。こちらは荒々しく男性的な風情です。
複雑に入りくんだ洞(うろ)があり、見ていて飽きません。
このように木ごとに全く違う味わいを見せています。
けやき(欅):これもかなり多く使われています。
美しい木目、赤茶色の木肌は、テーブルにすると味わいが増します。
けやきの間のテーブルがけやきであるのは、いうまでもありませんが、
実は下駄箱の横の小さな腰掛も、けやきだったりします。
いちょう:木目がとても細かく、落葉樹のなかではやや柔らかい部類の木です。
全体に黄色が強く、つややかな感じを与えます。
栗にくらべ、女性的な繊細さを感じさせる木です。
いちょうの間のいちょうの一枚板は、かなりの大木から採ったものであり、
これも日本産ではないでしょう。
とち(栃):独特の光沢がある木です。
待合にある「もちもちの木」という絵本に出てくる木が、とちです。
とちの間にあるとちの一枚板は、丸みを帯びたなかなか立派な木です。
せん:ざらざらした木目は、たもにも似ています。
せんの間の一枚板は、枝分かれの部分を採ったものであり、これは形に味がありますね。
オーク(なら):柾目面の虎斑(とらふ)が特徴の木です。
灰褐色野落ち着いた深みのある木目が何にでも合います。
当院では、座り心地が自慢の革張りのイスに大部分に、オークの無垢材が使われています。
ブラックウォルトナット(クルミ):茶褐色の深い色合いが特徴です。
表面は硬く、落ち着いた高級感が漂います。木目が味わい深いです。
当院では、オークのイスと同型のもので、ブラックウォルトナット製のものがいくつかあります。
オンコ(いちい):階段下の本棚上にデンと鎮座しているのが、オンコの一刀彫で、北海道アイヌ末裔三郎さんの作品です。
数年前にオンコの彫物が欲しくて捜し歩き、やっと見つけた代物です。
数匹の熊が木登りをし、その裏ではふくろうがひっそり佇んでいます。
優しい顔をした熊で、当院(あいち“熊”木クリニック)のシンボルです。
えんじゅ:これも同じく、北海道アイヌの末裔三郎さんの作品です。
これはひょんなことから目に留まり、引きつけられたものです。
えんじゅの枝に粗彫りのふくろうが止まっていて、かわいいです。
いちょうの間で私(院長)の傍に置いている、いわばマスコット的存在です。
熊木徹夫
(あいち熊木クリニック<愛知県日進市(名古屋市名東区隣)。心療内科・精神科・漢方外来>
TEL: 0561-75-5707)
精神科医。
精神保健指定医・精神科専門医・日本精神神経学会指導医・東洋医学会(漢方)専門医
あいち熊木クリニック 院長
心療内科・精神科・漢方外来|愛知県日進市(名古屋市名東区隣)
TEL: 0561-75-5707